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名作をちびちび読むシリーズ 「罪と罰」④

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photo: WokandapixPixabay

読書感想文の課題に悩める世の少年少女たちにおくります(うそ)

 

第三部 (1~3)あらすじ

各項ごとにちょっと長めにまとめております

第3部 ①

ラスコーリニコフはすぐに意識を取り戻しましたが明らかに様子が変でした。彼はしきりに一人になりたがり、会ったばかりの母と妹を追い立てるように宿に帰そうとします。しかしこれだけは今のうちに言っておかなければならないといったふうに、妹のドゥーニャに「ルージンとの結婚は断るように」と言い渡します。驚いたドゥーニャが「そんなことはできない」と言い返すと、ラスコーリニコフは「どうしてもあの男と結婚するというなら兄妹の縁を切る」と言い放ち、再びひとりの殻に閉じこもってしまいます。
一方、この日はラズミーヒンの様子も少し変でした。彼は、ラスコーリニコフを心配して彼の部屋をなかなか離れられないでいる母と妹を「ここのおかみがやきもちを妬くから」などと訳のわからない理由を並べたて強引に下宿屋から連れ出そうとします。息子が心配な母は、どうしてもここに泊まりたいと強情を張りますが、「ラスコーリニコフのことはどうか自分たちに任せておいてほしい。容態については逐一知らせに走るから」と二人を説得し、ルージンが用意しておいたという宿へ帰ってもらうことにします。宿まではラズミーヒンが送っていくことになりました。
酔っぱらっていたラズミーヒンは、宿へ向かう道中もおしゃべりがとまりません。彼は、ゾシーモフがラスコーリニコフに発狂の疑いがあると危惧していたこと、また、ルージンが二人のために用意したという宿は、市内でも指折りの劣悪な場所にある宿で、普通ならとても女性に用意するような宿ではないこと、おまけに「あなたの婚約者という人はとても感じの悪い人だった。ラスコーリニコフが怒るのも無理はない」などとついつい余計なことまでのべつまくなしにしゃべり倒してしまいます。あまりのラズミーヒンのハイテンションぶりに、ドゥーニャと母はいささか面食らってしまいますが、「でも根は悪い人ではなさそうだ」と彼のことを信用することにします。
二人をいったん宿に送り届けた後、ラズミーヒンは約束通りラスコーリニコフの様子を知らるために下宿屋と二人の宿を往復し、ゾシーモフも連れてきて医師からの診断結果も報告させます。この心遣いにドゥーニャも母もすっかり感服し、ラズミーヒンのことを心から信頼するようになります。一方、はじめてドゥーニャに会ったゾシーモフは、彼女があまりに美人だったため、すっかり鼻の下を伸ばしていました。しかしこれにラズミーヒンが「手を出したら承知しない」と威勢よくかみつきます。そうです。ラズミーヒンは一目会った時からドゥーニャにすっかり恋してしまっていたのです。ただラズミーヒンは、下宿屋のおかみともちょっといい仲になっていました。ラズミーヒンがドゥーニャと母を強引に下宿屋から連れ出そうとしたのは、そういう後ろめたい気持ちもあったからなのです。しかし彼はそろそろおかみとの腐れ縁は断ち切りたいと考えていました。そこでラズミーヒンは、女好きのゾシーモフにおかみを押しつけようと思いつき、嫌がるゾシーモフを無理やり自分の代わりにおかみの部屋に泊まらせることにします。

第3部 ②

翌朝ラズミーヒンは、昨夜の酔った勢いでの自分の恥ずかしい言動の一つ一つを思い出して激しい自己嫌悪に陥っていました。ゾシーモフにも「口が軽すぎる。特に昨夜の引越し祝いの席で、予審判事のポルフィーリイを目の前にラスコーリニコフのあれやこれやをすっかりしゃべってしまったのはまずかった」と注意されてしまいます。
ところでラズミーヒンに言われるまま、しぶしぶおかみの部屋で一晩を過ごしたゾシーモフですが、結果ラズミーヒンが期待していたようなことは何も起こらなかったようでした。
ゾシーモフが仕事に戻るため下宿を出た後、ラズミーヒンもラスコーリニコフの様子を報告するため、母とドゥーニャが待つ宿へと向かいます。彼は昨夜の大失態で二人に完全に嫌われたものと覚悟していましたが、彼の心配をよそに二人はラズミーヒンが来るのを心待ちにしていました。
ラズミーヒンは、母親に問われるまま、ラスコーリニコフのここ最近の生活ぶりについて自分が知っている限りのことを話しました。警察署での一件など差し障りのありそうな話はあえて伏せましたが、ラスコーリニコフの人となりについては、自分が普段感じていることを包み隠さず率直に語りました。そこにはかなり辛辣な性格批判も含まれていたので、ラスコーリニコフの母は少し気を悪くしますが、ドゥーニャは「兄のことをよく分析してくれていてありがたい」とラズミーヒンに感謝します。
三人は他にも、ラスコーリニコフがかつて下宿屋のおかみの亡娘と婚約していた話や、昨日のラスコーリニコフとルージンの間に起こった一件などについて語らいますが、そこでラズミーヒンは、ラスコーリニコフの母から、ルージンから届いたという手紙について相談されます。ルージンは昨日から二人の前に一度も姿を現さず、代わりに手紙をよこしたというのです。その手紙にはおよそ次のようなことが書かれていました。
「昨日ご子息の病床を見舞った際、いまだかつてないほどのひどい無礼を受けた。よって今夜8時、私はあなた方の宿を訪ねるつもりだが、その面会の席にご子息にはぜったいに同席してほしくない。もし来た場合は私はすぐに帰るし、これ以上あなたたちにも関わらない。それに私は重病で床に伏しているはずのご子息が、昨晩、馬車にひかれて死んだある酔っ払いの家で、いかがわしい職業を生業としているその家の娘に、葬儀費用の名目で25リーブルもの大金を渡しているのをこの目でみた。あの金はあなた方がやっとの思いで工面した金ではないのか?私はひどく驚いている」
ラスコーリニコフの母はいったいどうしたらいいのかと途方に暮れていました。ラズミーヒンはドゥーニャが決めたとおりにするのがいちばんだと言い、そのドゥーニャが「兄に相談したい」と望んだため、一同はラスコーリニコフの下宿屋へ行くことにします。

第3部 ③

三人がラスコーリニコフの部屋に到着すると、ちょうどゾシーモフが診察に来ていました。顔色はまだ悪いもののラスコーリニコフの具合はもうかなり良くなっているようでした。ゾシーモフは「これからはきみ自身だけが知っている病気の”根っこ”になっているものを断つ生き方をしていった方がいい」とラスコーリニコフに助言します。
ラスコーリニコフ自身も体調の回復を実感しているらしく、これまでとは打って変わったしおらしい態度で母と妹に昨夜の非礼を詫び、皆を安心させます。そして、昨夜マルメラードフの家に行き、母からの仕送りをすべて葬式費用として渡してしまったことに触れ「どうしてもあの不幸な家族を見て見ぬふりはできなかった。お母さんには申し訳ないことをしました」と謝ります。
その後も、郷里の知人(スヴィドリガイロフの妻・マルファ・ペトローヴナ)が亡くなった話など、皆がラスコーリニコフを腫物扱いする微妙な空気の中で、幾度か気まずい瞬間を迎えながらも当たり障りのない会話が続いていましたが、とうとうラスコーリニコフ自らがルージンの話を切り出します。彼はドゥーニャに対し「おまえには申し訳ないことをしたと思っているが、僕はやはりこの結婚を許すことはできない。どうしても嫁ぐというなら兄妹の縁を切る」と再びきつく言い渡します。これに対しドゥーニャ「私は誰かのために嫁ぐわけではありません。自分のために嫁ぐのです」と対抗します。
その後も兄妹の結婚観をめぐる口論は続き、ドゥーニャは例の手紙を兄に見せることにします。手紙を読んだ彼は、その文面から見えてくるルージンの人格的な問題点や、自分に対するえげつない中傷が書かれている点を指摘し「こうして僕をけなすことで僕を怒らせ、僕たち家族の間に不和を生じさせようとする魂胆がありありとみえる」と一読した印象を述べます。しかしさっきまでの強情な態度はすっかり消え失せ、こんどは「結婚するもしないも人の自由・・・ドゥーニャ、おまえの幸せを心から願っている」などと言い出します。今夜のルージンとの面会の席に出向くべきかどうかも「それは母とドゥーニャに任せる」と言います。しかしドゥーニャも母もすでに腹の中は決まっていました。ドゥーニャは兄に、今夜のルージンとの会合の席に来てほしいと頼みます。そしてラズミーヒンにも同席してもらいたいと言いました。

第三部 (1~3)ひとくち感想

若干ラブコメディーっぽい様相を呈してきました・・・。次に続きます・・・。

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