名作をちびちび読むシリーズ 「罪と罰」⑨
読書感想文の課題に悩める世の少年少女たちにおくります(うそ)
今まで以上にちびちび進みますことをどうかお許しください。
第四部 (4)あらすじ
第4部 ④
母妹の宿を出た後、ラスコーリニコフはその足でソーニャの住むアパートへと向かいました。思いがけないラスコーリニコフの訪問をソーニャは驚きと興奮をもって迎えます。ラスコーリニコフが彼女の家を訪ねるのはそれが初めてでしたが、にもかかわらず彼はこれが最後の訪問だとし、「どうしてもひとこと言い残したいことがあって来た」と言いました。
傍から見るソーニャの暮らしは惨憺たるものでした。まるで物置のような粗末な部屋に住み、これからも血のつながらない義母(カテリーナ・イワーノヴナ)と幼い弟妹を養うため、世間に蔑まれながらも娼婦として身を売って稼いでいかなければなりません。半ば狂人となっている義母からはかつて折檻されそうになったこともあったと聞きます。それでもソーニャは義母のことを愛しているようでした。今は病気のせいですっかり頭が乱れてしまっているけれど、もともとは利口でとてもやさしい人だったと。とても不幸な人なのだと。それを聞いたラスコーリニコフは、ソーニャと一家の今後についてとても辛辣で悲観的な展望を述べますが、それでもソーニャは「神様がそんなことをお許しになるはずがありません」と揺るぎませんでした。ラスコーリニコフはなぜ彼女がここまで他人のために自分を犠牲にした強い生き方ができるのか疑問でした。普通ならとっくに精神を病むか河に身投げするかしていてもおかしくないほどの境遇です。しかしソーニャはつねに理性を保ち、心は清らかなままでした。ラスコーリニコフは考えます。「これまで彼女を支えてきたものはいったい何だろう?」
ラスコーリニコフはソーニャの部屋に新約聖書があるのを見つけます。ソーニャはその聖書はリザヴェータに頼んで持ってきてもらったものだと言いました。ソーニャとリザヴェータは友人同士でした。それを知ったラスコーリニコフは少し動揺します。
ラスコーリニコフはソーニャに聖書を渡すと「ラザロの復活」の箇所を読み上げてほしいと頼みました。イエスがすでに埋葬されてから四日も経った死者(ラザロ)を墓の中から蘇らせるという奇跡を起こし、それを見た多くの人々がイエスを信じるようになったというお話です。
ソーニャの朗読を一通り聞き終えたラスコーリニコフは、「今日、肉親と縁を切ってきた」と、ソーニャに突然の告白を始めます。そして「僕にはもう君しかいない。君が必要だ。これからは僕と同じ道を一緒に歩いていってほしい」と言い出します。ソーニャは何がなんだかさっぱりわかりません。ただラスコーリニコフがおそろしく不幸なことだけはわかりました。ラスコーリニコフに激しく畳みかけられソーニャはただただ呆然としてしまいますが、ラスコーリニコフは「今日で最後になると思っていたが、明日もし再びここに来ることができたら、誰がリザヴェータを殺したか教える」と言って部屋を出て行きます。この最後の言葉はソーニャを激しく動揺させました。その晩、ソーニャは一晩中熱にうなされてしまいます。
ところで、ソーニャの部屋の隣には、隣人の部屋に属している細長い部屋があり、ソーニャはここがもうずいぶん前から空き室になっているものとばかり思っていましたが、この空き部屋にこっそり忍び込み、この日の夜のソーニャとラスコーリニコフのやりとりをすっかり盗み聞きしていた人物がいました。スヴィドリガイロフでした。
第四部 (4)ひとくち感想
ラスコーリニコフがソーニャに初めて自分の想いを打ち明ける有名な箇所だそうです。ところで私、ソーニャの暮らすアパートがいったいどんな構造になっているのか、何回読み返しても、どうにもこうにも頭の中に図面を描けません(汗)。どうやらソーニャがおそろしくプライバシーのない部屋に暮らしているっぽいことだけはなんとなく伝わってくるのですが・・・。次に続きます・・・