消灯時間です

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今日のアドリブ 気ままに書きます

名作をちびちび読むシリーズ 「罪と罰」⑥

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photo: WokandapixPixabay

読書感想文の課題に悩める世の少年少女たちにおくります(うそ)

 

第三部 (5)あらすじ

各項ごとにちょっと長めにまとめております

 

第3部 ⑤

ラスコーリニコフのいささか不躾すぎるほどの陽気なふるまいを最初のうちこそ愉快そうに眺めていたポルフィーリイでしたが、いざ用件に入るとその表情は一変。敏腕判事らしいシビアな一面をのぞかせ始めます。おまけに部屋にはなぜかあのザミョートフまでもがいました。これはラスコーリニコフにとって思いがけないことでした。彼はこの面会がどうやら一筋縄にはいかなそうなことを瞬時にして悟ります。
ラスコーリニコフはさっそく例の質草を取り戻したい件を、あらぬことに巻き込まれて大変困惑しているといった体で、ポルフィーリイに相談します。ポルフィーリイは事務的な手続きの方法を一通り教えてはくれましたが、「そうまでしなくとも、あの品物があなたのものだということはもうだいぶまえからはっきりしています」と言い出し、ラスコーリニコフを震撼させます。ポルフィーリイが言うには、ラスコーリニコフが預けた指輪と時計は一枚の紙に包んで老婆の部屋におかれていて、その包み紙にはラスコーリニコフの名前と品物を預かった日付までもがしっかりと書かれていたというのです。さらにポルフィーリイは「老婆に質入れしていた人物はほぼすべて身元がわかっている。出頭しなかったのはあなただけだ」と言います。ラスコーリニコフは努めて自然を装いながら懸命に出頭できなかった訳を話しますが、ラズミーヒンが悪気なく余計な口をはさんできたりするので、つい冷静さを失って声を荒げるなどしてしまいます。その場の気まずい空気はポルフィーリイが中座したことでいったんは断ち切られますが、ラスコーリニコフは捜査の進捗具合を探るどころか、警察がいったいどこまで真相を掴んでいるのか全く見当がつかなくなり、焦りと不安でいらだちます。

席に戻ってきたポルフィーリイはがらりと話題を変え「昨夜の続きだ」と、今度はラズミーヒンを相手に社会における犯罪のメカニズムについての議論を交わし始めます。しかしふと思い出したように「そういえば雑誌に載ったあなたの犯罪についての論文を読んだ」と言っていきなりラスコーリニコフに話題をふってきます。それはラスコーリニコフが大学をやめるときに書いた論文で、たしかに当時出版社に持ちこみはしましたが、てっきり掲載は見送られたとばかり思っていた論文でした。
ラスコーリニコフはその論文の中で、「この世の人間は「凡人」と「非凡人」に二分される。凡人は世の秩序に絶対服従して生きていかなければならず、法を犯すことは許されないが、非凡人はそれが正義のためであるなら、その良心の声に従って血を流すことも許される。例えるなら、マホメットやナポレオンといった偉人がそれにあたる」と極論めいた思想を展開させていました。ラズミーヒンは「ありえない」とショックを受け、ポルフィーリイは「その非凡人と凡人はいったいどうやって見分けるのか?人を殺す権利をも有するその「非凡人」とやらはいったいどの程度世の中に存在するのか?そんな人間にやたらあちこちいられてはかなわない」とラスコーリニコフをしつこく追及します。それに対しラスコーリニコフは「その心配はいらない。なぜなら「非凡人」というのは何世代のうちにやっと一人でるかでないかの「選ばれし者」だから」と理路整然と応戦します。ポルフィーリイはなおも追及しますが、最後に「あなた自身が自分のことを非凡人だと考えたことはないか?正義のために法を踏み越えようと思ったことはないか?」と究極の問いを投げつけます。この議論が自分を陥れようとするポルフィーリイの巧みな誘導作戦であることに最初から気づいていたラスコーリニコフは、「踏み越えたとしてもあなたには言わない」と、嫌みったらしい挑戦的な態度で答えます。しかし部屋の隅でだまって聞いていたザミョートフから「例の老婆を殺したのも未来のナポレオンじゃないのか?」とさも意味ありげな言葉を投げつけられ、部屋の空気はますます重くなります。

しばしの間重苦しい沈黙が続いた後、ラスコーリニコフは部屋を出ることにします。ポルフィーリイは「知り合いになれてよかった。また明日にでも会って話がしたい」と言い、「そういえば老婆の家を訪ねた時、ペンキ職人を見なかったか?」とラスコーリニコフに問います。ペンキ屋がいたのは事件当日です。その3日前にしか老婆の家に行っていないことになっているラスコーリニコフは、この質問がポルフィーリイの罠だということに気づき、わざと記憶を手繰り寄せるふりをして「見ていない」と答えました。


 

第三部 (5)ひとくち感想

敏腕判事ポルフィーリイとラスコーリニコフの息詰まる初対決がみものの章です。それにしてもラズミーヒンは単に鈍感なだけなのか、それともあえて鈍感なふりをしているのか・・・。行間を読むのが楽しいです。次に続きます・・・・。