消灯時間です

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読書記録/小池真理子作品

ひさびさに読書に没頭し、今回は小池真理子さまのサスペンスもの2冊。
一冊目は「冬の伽藍」。若くして夫を事故で失った女性が、同じように妻を自死で失った男性と出会い、互いに強く惹かれ合うようになる。がしかし、その男性には、女性と見れば見境なしに手を出してくる好色な継父がいて・・・という、ひところのお昼のドロドロメロドラマを思わせるようなハラハラドキドキのお話。時代背景が昭和終盤から平成初期と古いため、何もかもアナログモードなのがもどかしく、「今だったら迷惑電話対策モードとかでこんなスケベじじいさっさと撃退なのに」などとツッコミながら読み進めていっては、たまに自分のあまりの風情のなさに気づいてハッとする。何かにつけてこんな調子の私は本来ならこのような耽美な小説は読むべきではないのでしょうね・・・( ̄▽ ̄;)
600ページ近い大作だけれどついつい続きが気になってほぼ一気に読み切った。物語の舞台である軽井沢の冬の描写が美しいと思った。


もう一冊は「ノスタルジア」という作品。子供の頃からよく見知っている亡き父の親友だった男性と、年頃を迎えた頃から愛人関係を続けてきた女性が主人公というなかなか刺激的な人物設定のお話で、個人的には正直最初「ゲゲゲ」となってしまったが(失礼)、堪えて読み進んでいくうちに意外にも話は思わぬ方向に。「冬の伽藍」が昼ドラ系なら、こちらは幻想サスペンス系??早い話が怪談です。
入りは少々きつかったものの、そこを乗り越えたらあとはサクサク。こちらも半日ぐらいで読み切った。


さて、小説を読んでいると作中に出てくる映画や音楽なんかについつい反応してしまうのだが、今回は「冬の伽藍」に登場するペルゴレージの「スターバト・マーテル」というクラシックの楽曲が気になった。恥ずかしながらペルゴレージも「スターバト・マーテル」も知らなかったが、十字架に架けられたわが子イエスの傍らに立ちつくす聖母マリアの悲しみの姿を描いた宗教曲だという。物語の中ではおそらくもっとも悲劇的だろう場面に使われている。さっそくYouTubeで探して聴いてみた。寂しくてとてもきれいな曲だった。