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名作をちびちび読むシリーズ 「罪と罰」⑧

f:id:didoodah:20190827135216j:plainphoto by  StockSnap@Pixabay

読書感想文の課題に悩める世の少年少女たちにおくります(うそ)
前回から一年に渡るごぶさた、たいへん申し訳ありません・・・。

 

第四部 (1~3)あらすじ

第4部 ①

ラスコーリニコフは、スヴィドリガイロフの突然の訪問に嫌悪感を露わにします。
彼こそが母の手紙に書かれてあった、かつて妹ドゥーニャが家庭教師として勤めていた先の雇い主であり、彼女が事実無根の不倫の濡れ衣を着せられるきっかけを作った張本人でした。好色な彼は住み込みの家庭教師だったドゥーニャにしつこく言い寄り、その現場を目撃した妻のマルファ・ペトローヴナに逆にドゥーニャが夫を誘惑しているかのように誤解され、ドゥーニャは家庭教師をクビになったばかりか、怒ったマルファ・ペトローヴナによって町中に悪い噂を流されるなど散々な目に遭ったのです。のちにこの誤解は解け、二人は和解してドゥーニャはマルファ・ペトローヴナの世話でルージンと婚約することにもなりますが、そのマルファ・ペトローヴナが先日突然死亡。夫に殺されたのではないかともっぱらの噂でした。その話を母から聞かされていたラスコーリニコフは、あなたが殺したのではないかとスヴィドリガイロフに意地悪く突っ込みますが、彼は「妻は病死だ」と疑惑を否定します。

とにかくスヴィドリガイロフのことがいやでたまらないラスコーリニコフは何度も彼に退去を求めますが、厚顔無恥な彼は「よく妻の亡霊を見る」など、のらりくらりととりとめもない話をして長居を決め込みます。しかしラスコーリニコフから用向きを端的に話すよう改めて強く質されると、ようやく本題に入って「妹さんに会わせてほしい」とドゥーニャとの面会をしつこく求めてきます。これまで散々迷惑をかけたことへの罪滅ぼしとして1万ルーブリもの大金を彼女に渡したいというのです。彼は自分には再婚の予定もあるし、今やドゥーニャ対するやましい気持ちは一切ないと言いながら、ドゥーニャがルージンとの結婚を決めたことがよほど面白くないのか、二人の結婚をしきりに壊したがったりもします。スヴィドリガイロフは数日前からペテルブルグに来ていて、近くの宿に滞在しているようでした。最後にスヴィドリガイロフは「妻の遺言でドゥーニャに3千ルーブリ贈ることになっている。もうじき送金されることになるだろう。こればかりは確かな事実なので、ぜひとも彼女に伝えてほしい」と言い、ようやく部屋を出ていきます。そのときちょうどラズミーヒンがラスコーリニコフを迎えに部屋に現れました。二人は戸口ですれ違います。

第4部 ②

スヴィドリガイロフが去った後、ラスコーリニコフはラズミーヒンとともに、母とドゥーニャの待つ宿へと急ぎます。例の会合に参加するためです。道中、ラズミーヒンに「あの男は誰か」とスヴィドリガイロフのことを尋ねられたラスコーリニコフは、かつて彼のせいでドゥーニャがとんでもない恥ずかしい思いをさせられたことを話して聞かせ、妹を守ってやってほしいとラズミーヒンに頼みます。

午後8時。ルージンとラスコーリニコフ一家との会談が始まりました。ルージンは自分の要求が無視され、ラスコーリニコフと、おまけにラズミーヒンまでもがこの場にいることに内心腹を立てていましたが、最初のうちは努めて平静を装います。しかし話がすすむにつれ、しだいに冷静さを失い始めたルージンは、ついにエリートとは名ばかりの、ケチで卑劣で支配欲にまみれた薄汚い本性を露呈させ、この結婚が破談になることを一番恐れていたラスコーリニコフの母までをも「あなたに娘はやれない」と激怒させることになりました。それでも「この貧しい女二人がもはや私の力なしで生きていくことはできまい」とルージンは高をくくっていましたが、とうとうドゥーニャ本人からぴしゃりと婚約の解消を申し渡されてしまいます。ルージンは怒りと屈辱で真っ青になりながら、皆に追い立てられるようにして部屋を出ていきます。

第4部 ③

まさかあの母妹の方から結婚を断られるなど予想もしていなかったルージンは激しく動揺しますが、だからといってドゥーニャとの結婚をあきらめたわけではないようでした。ドゥーニャはルージンにとって長年待ちに待ってようやく探し当てた、是が非でも手に入れたい、いうなれば”戦利品”のような存在でした。みすみす逃すわけにはいかないのです。

ルージンが去った後、母妹の部屋はしばしの幸福感に包まれます。特にラズミーヒンは悪霊退散とばかりに喜びに打ち震えていました。
ドゥーニャは先ほどの会談中、途中になっていたスヴィドリガイロフについての話の続きを兄から聞き出そうとします。ラスコーリニコフは、スヴィドリガイロフが自分のところを訪ねてきて、彼がしきりにドゥーニャに会いたがっていること、それから、マルファ・ペトローヴナが3千ルーブリの遺産をドゥーニャに遺したらしいことについては、先ほど皆の前で話したのですが、もう一つスヴィドリガイロフが託していったという”ある提案”については「今は言えない」と、さもこの男の前では重要なことは話せないとばかりに、わざとルージンのいる前では口をつぐんだのです。妹に何を話すつもりだったのか聞かれたラスコーリニコフは、ルージンの前では話さなかった1万ルーブリの件を彼女に伝えます。くわえてドゥーニャは、ラスコーリニコフが断固拒否したにも関わらず、スヴィドリガイロフが執拗に自分と会う機会を狙っているらしいことを兄から聞かされ、「いったいあの人は何を企んでいるのか」と戦々恐々とします。しかしラズミーヒンが「そんなことはさせない」と頼もしく胸を張り、ドゥーニャを安心させます。

ルージンとの結婚が破談になった以上、ドゥーニャと母がペテルブルグにいる理由はなくなりましたが、このままドゥーニャをペテルブルグに留めおきたいラズミーヒンは必死です。彼は「何も田舎に帰ることはない。ここで家族みんなが一緒に暮らしていけるよう会社を興しませんか?」と起業話を提案します。皆で出版社を立ち上げようというのです。ラズミーヒンには資金のあてもノウハウもありました。出版社をやることは彼の夢でもあります。ドゥーニャはラズミーヒンの話に目を輝かせ、ラスコーリニコフも「いい話だ」と賛同します。話は盛り上がりますが、せっかくの雰囲気に水を差すような出来事が起こりました。ラスコーリニコフが「僕を一人きりにしてください。金輪際、僕のことは忘れてください」と言い出し、席を立ったのです。あまりの突然の出来事に皆はあぜんとします。母は悲しみ、妹は「情け知らずのエゴイスト!」と兄の背中に怒りをぶつけました。ラズミーヒンは部屋を出て行くラスコーリニコフの後をすぐに追いかけました。しかし彼はラスコーリニコフのこの”いつものパターン”が、今回ばかりはこれまでとは明らかに異質な様相を呈していることに気づきます。ラスコーリニコフは去り際「僕のことは見捨てろ。でも母と妹のことは見捨てないでくれ。ぼくの言うことがわかるだろう?」と、ラズミーヒンに言い残します。このときのラスコーリニコフのただならぬ表情を見て、ラズミーヒンはようやくすべてのことを悟ります。この瞬間、二人の間に起きたことは、ラズミーヒンにとって生涯忘れえぬ出来事となりました。部屋に戻ったラズミーヒンはドゥーニャと母を慰め、いつかりっぱな医者を見つけて必ず診てもらうからと力強く二人を励まします。今やラズミーヒンは彼女たちにとって家族同然のかけがえのない存在でした。

 

第四部 (1~3)ひとくち感想

いよいよ後半に突入。最恐変態キャラ・スヴィドリガイロフの本格的登場です。名前もめんどくさいったらありません。ドゥーニャがルージンに婚約解消を突きつけるくだりはスカっとしますが、どうやらこれで一件落着とはいかなそうな雰囲気。ラスコーリニコフもさることながら、母と妹はこの先どうなるのでしょう・・・。次に続きます・・・

名作をちびちび読むシリーズ 「罪と罰」⑨