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名作をちびちび読むシリーズ 「罪と罰」②

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photo: WokandapixPixabay

読書感想文の課題に悩める世の少年少女たちにおくります(うそ)

 

第二部 (1~4)あらすじ

各項ごとにちょっと長めにまとめております

第2部 ①

犯行後自宅に戻ったラスコーリニコフは突如熱病を発症し、高熱のせいか一晩中寝たり覚めたりを繰り返す意識障害に陥っていました。しかし自分の体に残る犯行の痕跡が気になってしかたがない彼は、もうろうとなりながらも、残された体力を振り絞るようにして必死にその証拠隠しにつとめます。
翌朝彼は、女中のナスターシヤと庭番に叩き起こされます。警察から呼び出しが来ているというのです。唐突に「警察」と言われても、ラスコーリニコフには昨夜のこと以外に自分が警察に呼ばれる理由が見つかりません。半ば覚悟を決めた彼は、場合によってはすべてを告白するつもりで警察に出頭します。しかし彼が呼び出されたのは全く別の理由でした。下宿屋のおかみが彼を相手取って借金取立の訴えを起こしたというのです。呼び出された理由が昨夜の一件ではないと知りラスコーリニコフは内心ほっとしますが、彼が知らず知らずのうちに署内で見せていた人を食ったような態度や、借金未返済に関するいささか身勝手すぎるような言い訳は、対応に当たった警官たちに悪い印象をあたえてしまいます。特に癇癪持ちで有名な副署長のイリヤ・ペトローヴィチにあたえた心証は最悪でした。警官らと対峙するうちに急激な心境の変化が起こったラスコーリニコフは、不意に昨夜のことを全てぶちまけてしまいたくなる衝動にかられます。しかし警官たちが昨夜の事件を話題にし始めたのを耳にしたとたん、心因的なショックからか彼はその場で失神してしまいます。
やがて目を覚ましたラスコーリニコフは、副署長のイリヤ・ペトローヴィチから「昨日外出しなかったか?」と尋ねられます。「19時過ぎに外出した」とラスコーリニコフが答えたため、署内に一瞬不穏な空気が流れます。しかしそれ以上追及されることはありませんでした。彼は警察署を後にしました。「捜索が始まる。俺は疑われている・・・」ラスコーリニコフを強い不安が襲います。

第2部 ②

自宅に戻ったラスコーリニコフは、老婆の家から盗み出した金品の始末に困っていました。「ここにもいずれ捜査の手が回る。このまま家の中に隠しておくわけにはいかない」品物をポケットに詰めこんで部屋を出た彼は、盗品の処分場所を求め、熱で衰弱した体で街をさまよいます。最初は川に捨てるつもりでしたが、街の一角におよそ人目につかなそうな格好の隠し場所が見つかったため、そこへ行って土中に埋めることにしました。「証拠はすべて隠滅した」ラスコーリニコフは完全犯罪達成の喜びに酔いしれます。しかし彼は金品を奪っておきながら、最後まで財布の中身ひとつすら確かめようとしなかった自分にはたと気づきます。「俺は何のために、何が目的であんな卑劣で恥ずかしい真似をしたのか?」ラスコーリニコフは自分で自分のしていることがわからなくなり激しく苦悩します。
気がつくとラスコーリニコフは、自然と友人ラズミーヒンの家へと足を向けていました。ラズミーヒンは長らく消息不明だったラスコーリニコフが突然目の前に現れたので驚きますが、久しぶりの友の訪問を温かく受け入れます。しかし当のラスコーリニコフは、友人の親切を無にするような支離滅裂な言動をとるばかりでまるで要領を得ません。しまいにはラズミーヒンの制止も聞かずぷいと立ち去ってしまいます。
その後もあてどなく街をさまよったラスコーリニコフは、ほうほうの体で自宅にたどり着くと力尽きそのまま気を失ってしまいました。しかしやがてものすごい叫び声に起こされます。なんとあの警察署の副署長イリヤ・ペトローヴィチが下宿屋にやってきておかみ相手に暴れ回っていたのです。「なぜ奴がここに⁉」しかしそれらの光景はすべて高熱の中で見た幻覚によるものでした。彼は再び気を失います・・・。

第2部 ③

その後病床に伏したラスコーリニコフはしばらくの間夢と現実のあいだをさまよっていましたが、4日目になってようやく意識を取り戻しました。気がつくと枕元にナスターシヤと見知らぬ男が立っていました。どうやら意識を失っているうちにいろんな人間が部屋に出入りしていたようです。やがてラズミーヒンも顔を出します。彼もすでにもう何度か部屋を訪ねてきているようでした。
「見知らぬ男」の正体は組合の事務員でした。郷里の母から組合を通じてラスコーリニコフ宛に送金の依頼があり、その現金を届けるために来ていたのです。事務員から送金の経緯を聞いたラスコーリニコフは、またいつもの偏屈さでもって金の受取を拒否しますが「他人様に迷惑をかけるものじゃない」とラズミーヒンに諭され、しぶしぶ現金を受け取ります。
ラズミーヒンの話によると、ラスコーリニコフが寝ている間にいろんな動きがあったようでした。そもそもラズミーヒンはラスコーリニコフの居所を知りませんでした。しかし先日の彼の異様な言動にただならぬものを感じたラズミーヒンは、持ち前のコミュニケーション能力を駆使してあっという間に彼の住所を探し出し、この下宿屋へとやってきたのです。陽気で社交的な彼は下宿屋の人々ともすっかり打ち解け、特におかみにはかなり気に入られたらしく、彼女に取り入って例のラスコーリニコフの借金問題も解決してくれていました。
しかしそれに続くラズミーヒンの「ザミョートフもここに来た」という一言がラスコーリニコフを再び恐怖に突き落とします。ザミョートフとは、先日ラスコーリニコフが警察に呼ばれたとき、借金取立の事務手続きを担当していた若い事務官でした。面識などないに等しいあの男がなぜここに・・・?ラズミーヒンの話によると、彼はラスコーリニコフの住所を探す過程でどうやら警察署の連中とも顔なじみになったらしく、特にザミョートフとは毎日のように会うほど親しくなったというのです。ラズミーヒンは「ザミョートフがきみと知り合いになりたがっていたのでここへ連れてきた」と言います。不安に駆られたラスコーリニコフは、そのとき自分が何かうわごとを言わなかったかと根掘り葉掘りラズミーヒンを問い詰め、そのあまりの執拗さに「何か知られたくない秘密でもあるのか?」と彼を苦笑いさせてしまいます。しかしラスコーリニコフは、ザミョートフに何かもう事件のカギを握られてしまったのではないかと気が気ではありません。不安のあまり苛立つラスコーリニコフは、薄汚れた身なりの彼を心配して新しい服を一揃えわざわざ買いに走ってくれたラズミーヒンのせっかくの心遣いもありがた迷惑とばかりに邪険に払ってしまいます。しかしそんなことで引き下がるラズミーヒンではありません。せめて人間らしい格好をさせなければと暴れるラスコーリニコフを押さえつけ、無理やり下着を取り替えさせます。
やがてその場の空気を変えるように一人の来客がやってきます。ラズミーヒンの友人で医師のゾシーモフでした。

第2部 ④

ゾシーモフはラスコーリニコフの診察にやってきたのでした。ラズミーヒンの依頼ですでにもう何度目かの診察です。ラスコーリニコフは徐々に回復傾向にあるようでした。ラズミーヒンは容態が安定しているようならそろそろラスコーリニコフを外に連れ出したいと言い、できれば今夜、自分の引っ越し祝いがあるのでそこに二人とも招待したいと話します。招待客の顔ぶれは顔の広いラズミーヒンらしく実に多彩でした。例のザミョートフもやってくるといいます。堅物なゾシーモフは、相手が警察官でも誰でも平気でつきあうラズミーヒンの奔放さに面食らい、少々皮肉めいたことを口走ってしまいますが、ラズミーヒンは「ザミョートフは実にいい人間だ。それに彼と僕との間には共通の話題がある」と言って、おもむろに老婆殺しの事件の話を始めます。
ラズミーヒンの話によると、老婆殺しの件はすでに容疑者があがっており、老婆の部屋の階下でペンキ屋を営んでいるミコライという男が重要参考人として取り調べを受けているということでした。ミコライは事件のあった夜、金の耳輪を質草に近所の居酒屋から金を借りていました。しかし後に事件の一報を聞いた居酒屋の主人が、預かった耳輪がもしや殺された老婆のものではないかと怪しみ、ミコライをつかまえ耳輪の出所を問いただしたところ、彼は脱兎のごとく逃げ出し、あげく自殺まで図ろうとしたというのです。警察ではミコライが真犯人だとほぼ断定しているようでした。しかしラズミーヒンは「事件当夜のさまざまな状況から考えると、ミコライが犯人とは考えにくい。自分はこの事件には他に真犯人がいると思う」と、彼なりの推理をゾシーモフに語って聞かせます。
ラズミーヒンが盛んに舌を振るっていたそのときです。そこに居合わせた誰もが知らない一人の男が部屋の中に入ってきました。

 

第二部 (1~4)ひとくち感想

犯行後の主人公の心の葛藤が描かれ始めるため、複雑な心理描写が多くなり、前章に比べると一気に読みづらくなる印象です。登場人物も順調に増えまくります。それにしてもラスコーリニコフはよく失神します。正の字書いて数えたくなるほどです。人間、極限状態に陥るとこんな風になってしまうものなんでしょうか。悪いことはできないものです・・・。

名作をちびちび読むシリーズ 「罪と罰」③