消灯時間です

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うしろあたまの思い出

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今から5年ぐらい前に、東京・上野の森美術館で開催された「ツタンカーメン展」が忘れられない。この手の美術展や博覧会はたいがい混むものだから、ある程度の混雑は覚悟していたつもりだったが、それにつけても、の予想をはるかに超える混雑ぶりで、思わず現地で絶句してしまった覚えがある。

まあしかし、今思い出してもすごい混みようだった。
比較的空いてそうな日を狙ったつもりで、夏休み期間も過ぎた平日を選んで出向いたのだが、お昼ごろ現地に着き、ようやく中に入れたのは、午後も3時を過ぎたころ。中に入れば入ったで、思いのほかせまい会場は大勢の人でごった返し、係員は絶えず声を張り上げ、とても快適な観覧環境とは言い難い。しかも展示物はやたら小っちゃいものが多く、じっくり見たければ近くまで寄らないといけないわけだが、係員も声を張り上げるわりには特に人員整理するわけでもなく、それでもって人の波がいっこうにひかないので、展示ケースに近づくのも容易ではなく…。

けっきょく、およそ3000円という、なかなか高額なチケットを買って、まともに鑑賞できたのは、ほぼ入場者の後頭部だけだった。うしろあたまの思い出しかない。
同じエジプトものでいえば、この数年前に横浜で開催された「海のエジプト展」という、アレクサンドリア海底遺跡から発掘された遺物を展示する展覧会が、それほど触れこみも派手ではなかったけれど、期待以上のものであっただけに、正直、この「ツタンカーメン展」にはがっかりしてしまった。その後、ひところより落ち着いたという話も聞こえてきたけれど、もう一度足を向ける気にはちょっとなれなかった。

それにしてもこの「ツタンカーメン展」、前宣伝がすごかった。たぶん大半の人が、あの有名な「黄金のマスク」が来ると思い込んでたんじゃないだろうか。実際、会場でも「黄金のマスク」がないないとざわついてる風な人がけっこういた。だが、あろうはずもない。あのマスクは、エジプトから門外不出だもの。あるわけないのである。だけど、ポスターやチラシが、ちょっとというか、だいぶ思わせぶりだった。人の思い込みを利用したなかなか巧妙な宣伝。「してやられた」という感じだ。ツタンカーメンといえば、まず真っ先にあの黄金に光り輝くマスクのイメージが頭に浮かぶものな。ちなみに目玉として展示されていたのは、「カノポス」という、ツタンカーメンの内臓が保管されていたとされる、これまた小っちゃい黄金の壺だった。もう何でもちっちゃいねん!

日ごろから、あまりに大げさだったり派手なものには近づかないようにしているつもりだが、この展覧会を機にますます気をつけるようになった。
あと、何にしても、前もってある程度の知識を仕入れておくというか、日頃から事前に調べるというクセをつけておくことがものすごく大事なことがよくわかった。
それから、あせらないこと。
いい教訓になった。

お題「印象に残っている展覧会」