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名作をちびちび読むシリーズ 「罪と罰」⑤

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photo: WokandapixPixabay

読書感想文の課題に悩める世の少年少女たちにおくります(うそ)

 

第三部 (4)あらすじ

各項ごとにちょっと長めにまとめております

第3部 ④

そのときです。ラスコーリニコフの部屋に一人の女性が訪ねてきました。マルメラードフの娘、ソーニャがやってきたのです。彼女の身なりが前日の派手な装いと比べてあまりに質素だったためラスコーリニコフは最初それが誰だかわかりませんでした。しかしやがてソーニャであることに気づくと、彼女を快く部屋に招き入れ、その場にいる皆に紹介します。ラスコーリニコフの母とドゥーニャは、目の前にいる女性が例の手紙に書かれていた「いかがわしい職業」の女性であることを知って、思わずソーニャに不審の目を向けてしまいます。特に母は、ラスコーリニコフから牽制するような鋭い視線を送られていることに気づきながらも、ソーニャに対する蔑みの感情をなかなか抑えることができずにいました。

ソーニャは義母の使いで、明日のマルメラードフの葬儀にラスコーリニコフにもぜひ参列してほしいと伝えにやってきたのでした。しかし彼女はラスコーリニコフのあまりに貧しい暮らしぶりに驚き、彼がけして裕福だったわけでなく、全財産をはたいて自分たち家族のために葬儀代を工面してくれたのだということを悟って、あまりの後ろめたさにその場で打ちひしがれてしまいます。その様子を目にしたドゥーニャと母は、自分たちがソーニャを偏見の目で見ていたことに気づきます。その後、母妹は皆より先に部屋を出て宿へ帰ることにしますが、その道中、母が「あの二人はお互い気があるのではないだろうか」とドゥーニャに打ち明けます。しかしソーニャの職業のことがどうしても気になる母は、息子の行く末を不安視するような物言いをします。一方ドゥーニャは「あんな心の美しい人の悪口を書くなんて、ルージンの手紙はでたらめに決まっている。考えてみれば私たちもずいぶんひどいことを書かれたことがあった。あの人はどうしようもない陰口屋だ」と、婚約者に対する批判的な態度を隠さないようになっていました。先の暮らし向きが不安な母はひたすら今回の縁談が破談になることを恐れますが、それもドゥーニャは「もはやなるようにしかならない」と一蹴します。

母と妹を見送った後、ラスコーリニコフは、続いて暇を告げようとしたソーニャをその場に引き留めたまま、ラズミーヒンに、予審判事のポルフィーリイを紹介してもらえないかと持ちかけます。ポルフィーリイはラズミーヒンの親戚にあたる人物で、例の老婆殺し事件を担当している判事でした。ラスコーリニコフは「ポルフィーリイが例の事件の関係で老婆のもとに質入れしていた人物を片っ端から調べていると聞いた。実は僕もその一人だ。老婆に妹がプレゼントしてくれた指輪と父の形見の銀時計を預けた。ただ、母と妹に内緒で預けてしまった手前、このまま品物を取り戻せなくなるようなことになれば非常にまずい。そこで、それが元々自分のものであり、いずれは買い戻す意志があるということを今のうちに意思表示しておきたい。本来は警察に届け出るのが筋だと思うが、できればポルフィーリイにその手続きを頼めないだろうか」とラズミーヒンに相談します。ラズミーヒンはラスコーリニコフと老婆に直に接点があったことに驚きますが、さっそくラスコーリニコフポルフィーリイのもとへ連れていくことにします。

その後三人そろって部屋を出た彼らは、道の途中で別れ、ラスコーリニコフとラズミーヒンはポルフィーリイのもとへ、ソーニャは自宅のあるアパートへと向かいます。やがてアパートにたどり着いたソーニャは、後から入ってきた見知らぬ紳士風情の男に自室のドア前でいきなり声をかけられ困惑します。男は、自分は三日前にペテルブルグに来たばかりだと言って、隣の部屋の中へ消えてゆきました。実はこの男は、ソーニャがラスコーリニコフの下宿屋を出た時からずっと彼女の後をつけてきていました。ソーニャはそのことに全く気がついていませんでした。

一方、ラスコーリニコフはラズミーヒンから、ポルフィーリイがかなりの切れ者だと聞き、迫る初対面を前に身を固くしていました。彼がポルフィーリイとの面会を希望した本当の目的は、例の事件の捜査がどの程度進んでいるのかを探ることです。特に、昨晩自分が老婆の家を訪ね、唐突に血のことをたずねてしまったことがすでにポルフィーリイの知れるところになっていやしないかとひどく気がかりで、彼に会ったらまず最初にそれを確かめねばなるまいと思っていました。そんなラスコーリニコフの心の内も知らず、ラズヒーミンは彼をポルフィーリイと対面させられることがなぜかよほど嬉しいらしく、ただただ興奮していました。そんな無邪気な友の姿を見て、ラスコーリニコフは「今日は朝からばかにうれしそうだがどうした?やけにめかしこんでもいるし」などとラズミーヒンをからかいはじめます。ラズミーヒンは恥ずかしさのあまり真っ赤になって怒りますが、その姿を見てラスコーリニコフはますます大笑いし、爆笑したままポルフィーリイの住居へと入っていきます。それはわざと陽気で屈託のない言動をとることで、自分は事件とは全く無関係の人物なのだということを周りに知らしめようとする、ラスコーリニコフなりの作戦でした。

第三部 (4)ひとくち感想

ほぼ会話の応酬に終始し、まるでドラマを見ているようです。いよいよ最強キャラ、ならびに最恐キャラの登場をも予感させ、次に続きます・・・。

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