消灯時間です

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「カラマーゾフの兄弟(上)」ドストエフスキー

毎年、年間100冊の読書を目指しているのだが、今年は情けないことに30冊もどうかという怪しい雲行きになってきたので、もう量にはこだわらず、以前手をつけたけれども途中で投げ出してしまった本にゆっくりじっくり時間をかけて再挑戦してみることにした。というわけで、今回はドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を再び手にとってみた。以前読んだときは、あまりの長さと複雑さと難解さに精魂尽き果て、上巻を読んだきりそのまま放置していた。もうストーリーも何も頭に残っていない。そこで今回再読するにあたり、なんとかスムーズに読める方法はないものかと考え・・・

  • 一日100ページずつ読む(5日ぐらいで読みきれる計算)
  • 登場人物を整理する
  • ロシア人の独特な名前の言い回しに慣れる
  • ちんぷんかんぷんなところは読み流す(私の場合は、神さまがいるいないの小難しい議論のシーン)

この戦法でいくと意外と読めないこともないことがわかり、予定どおり5日間ほどで上巻を読み切った。私のない頭ですべてを理解しようとしていたからムリだったので、難解な部分にはあまりこだわらずに大筋さえ追っていけば、まるでかつての東海テレビの昼ドラを見ているような話でおもしろいことがわかった。次の展開が気になる。まあそれにしてもものすごいボリュームの小説だ。

ざざざっと覚書的にまとめ

【第一部】
第一編 ある家族の歴史

ロシアの小地主であるフョードル・カラマーゾフは、天性の金儲けの才で無一文から財を成した人物だったが、好色で欲深く、下品極まりない男だった。彼は二度の結婚で、三人の息子をもうけた。最初の妻はアデライーダという女性で、彼女との間に長男・ドミートリイが生まれた。しかし、アデライーダはドミートリイが3才の時、不倫相手と駆け落ちし、息子を置いたまま家を出ていった。二番目の妻・ソフィヤは、イワン(次男)とアレクセイ(三男)の二人の息子を生んだが、病気(精神疾患)がちだった彼女もまた幼い息子たちを残して亡くなった。およそ親らしい愛情や責任のかけらも持ち合わせていなかったフョードルは、子育てを完全に放棄したため、幼い息子たちはそれぞれ母方の親類もしくはその関係者らにひきとられ、離れ離れになって育った。やがて時は流れ、成長した息子たちがそれぞれの思惑を胸に再び故郷へと戻ってくる。特に、親の金目当てに帰郷した長男・ドミートリイは、遺産や財産の取り分をめぐって父・フョードルと激しく対立。その争いは酷くなる一方で、解決の糸口はいっこうに見えなかった。そこで、この家族争いを第三者に仲裁してもらおうと、一家は、三男のアレクセイ(以下、アリョーシャ)が修行僧として籍を置く修道院で、家族会議を開くことにする。こうして長い間、散り散りになって暮らしていた家族がはじめて一堂に会することになった。

第二編 場違いな会合

カラマーゾフ家の話し合いは、アリョーシャの師であるゾシマ長老およびその他関係者立ち会いのもとで開かれた。しかし、フョードルとドミートリイは和解に向けて話し合うどころか、互いのスキャンダルめいた私生活を暴露しあって大喧嘩を始めてしまい、会合はあえなく物別れに終わってしまう。

※フョードルとドミートリイの口喧嘩からわかること
ドミートリイには良家の令嬢であるカテリーナという婚約者がいるが、一方で、グルーシェニカという妖艶な美女に入れあげ、カテリーナとの縁を切りたがっている。さらに、グルーシェニカにはフョードルも夢中になっていて、父子は金銭問題だけでなく女性問題でも対立している。

会合が終わった後、アリョーシャは体力を消耗し床に伏してしまったゾシマ長老に、自分が死んだら修道院を出て俗世に戻るよう告げられ動揺する。また、アリョーシャは、嫌味な同僚・ラキーチンから「君の家庭ではいずれ犯罪がおこるだろう」と辛らつな言葉を投げつけられ、さらには、次兄のイワンが長兄ドミートリイの婚約者であるカテリーナに横恋慕していること、当のドミートリイもそれを承知しており、カテリーナには自分のような男よりも、イワンの方がふさわしいと盛り場でふれまわっていることなどもラキーチンから聞かされる。

第三編 好色な男たち

アリョーシャは、ゾシマ長老の熱烈な信者の一人であるホフラコワ夫人を通じて、これまであまり面識のない兄の婚約者・カテリーナから家に来るよう呼びつけられたため、不安を覚えながらも彼女の家へ向かう。が、その道すがらで偶然、彼はドミートリイと出くわし、カテリーナのところへ行くなら自分の代わりに別れを告げてきてほしいと頼まれる。さらに、カテリーナに3000ルーブルの借りがあるらしいドミートリイは、彼女の家に行く前に実家へ寄って父親から3000ルーブルの金を引き出し、その金でもってカテリーナに借金を返してほしいとも頼んできた。ドミートリイは、フョードルがグルーシェニカの気をひくための資金としてちょうど3000ルーブルの現金を手もとに準備しているらしいことを実家の召使・スメルジャコフから聞き出して知っており、その金を自分の借金返済に使ってやろうとたくらんでいた。また、ドミートリイは、グルーシェニカが近く実家にやってくるかもしれないという情報もつかんでいて、フョードルと彼女が結婚する気なのではないかと警戒を強めているようだった。アリョーシャは兄に言われたとおり実家へ立ち寄るが、そこへ突如、グルーシェニカが来ていると勘違いしたドミートリイが乗り込んできて、フョードルに対し激しい暴力をふるう。フョードルは怪我を負わされるが幸い命に別状はなく、父を介抱した後でアリョーシャは予定どおりカテリーナの家を訪ねることにした。
カテリーナに面会したアリョーシャは兄からの別れの言葉を伝えるが、カテリーナは一時的な感情だろうと言って本気にしない。しかもドミートリイが例の女性(グルーシェニカ)と結婚することは絶対にないと自信満々に断言するので奇妙に思っていると、その場にグルーシェニカが現れたので、アリョーシャは仰天する。カテリーナは、グルーシェニカにはドミートリイとは別に本命の男性がいて、近くその男性のプロポーズを受けるつもりらしいと安心しきっているようだったが、当のグルーシェニカは「そんな話をしたつもりはない」と言いだし、さらには、カテリーナの世間知らずなお嬢さんぶりや、ドミートリイから聞き及んでいるらしいカテリーナの恥ずかしい過去の話を持ち出して、カテリーナをからかいはじめる。先ほどまでしおらしくしていた客人の突然の態度豹変と自分に対する侮辱に驚いたカテリーナは激昂。我を忘れて取り乱したため、アリョーシャは必死になってその場を収めた。
カテリーナの家を後にしたアリョーシャは、彼を待ち伏せていたドミートリイと再び出会う。面会の様子を聞きたがるドミートリイに、アリョーシャは、先ほどカテリーナの家で起きたことを話して聞かせるが、自分の婚約者が侮辱されても大笑いしている兄の態度に我慢がならず、ドミートリイを非難してしまう。弟の厳しい言葉がこたえたのか、ドミートリイは「もう会いたくない」と言い、以降、ぷっつりとアリョーシャの前に姿を見せなくなってしまった。

【第二部】
第四編 病的な興奮

翌朝、アリョーシャは実家に寄って父を見舞った後、以前からの約束だったホフラコワ夫人の家を訪問するが、夫人の家にはちょうどカテリーナとイワンも来宅していて、二人きりで話し合いに臨んでいた。カテリーナと親しいホフラコワ夫人は、カテリーナが本当に愛しているのはドミートリイではなくイワンだと言い、二人の様子を目にしたアリョーシャもそのことを確信するが、カテリーナはイワンの前で、自分は生涯ドミートリイに操を立てると宣言し、モスクワに旅立つというイワンに対し悲しむ様子も見せない。イワンが気の毒になったアリョーシャはたまらず「あなたのドミートリイに対する愛は偽りだ」とカテリーナを責めるが、イワンは静かにそれを制し、カテリーナに冷徹な別れの言葉を告げてその場を去っていく。イワンが去った後、何事もなかったかのようにカテリーナはアリョーシャにある頼み事をしてくる。以前、酒場でドミートリイが乱暴を働いてしまった相手に見舞金をもっていってほしいというのだ。その相手は、スネギリョフという元二等大尉の男で、今は職を失くしてひどい貧乏生活をしているらしかった。暴行の場にはスネギリョフのまだ小さな息子も居合わせ、父親が侮辱を受けている間中、泣きながら必死に許しを乞い続けていたらしいのだが、その話を聞いたアリョーシャはふとあることに気づく。実は、アリョーシャは、ホフラコワ夫人の家に来る途中で、中学生同士のけんかに出くわし仲裁に入ったのだが、その中の一人の少年に、自分がカラマーゾフ家の人間と知るや思わぬ敵意をむけられ、指を強く噛まれて負傷するというアクシデントに遭っていた。アリョーシャはあのときの少年はスネギョリフの息子ではないだろうかと直感的に思う。スネギョリフの家を尋ねあてたアリョーシャは、彼の家でやはり例の少年の姿を見つける。少年はスネギリョフの息子でイリューシャといい、父親の事件以来、ドミートリイをはじめとするカラマーゾフ家の人間を激しく憎んでいたのだった。突然家に現れたアリョーシャを見てイリューシャはひどく動揺するが、彼はけんかから戻ってきた後、病気になってしまったらしく、調子悪そうにしていた。アリョーシャとスネギョリフは様々なことを話し合ったが、結局スネギョリフは、息子に顔向けできないと見舞金を受け取らなかった。

第五編 プロとコントラ

見舞金の件をカテリーナに報告するため、アリョーシャはふたたびホフラコワ夫人の家に戻った。しかしカテリーナはその後ヒステリーを起こして倒れてしまったらしく、意識不明で深刻な病状に陥っていた。カテリーナの介抱で忙しいホフラコワ夫人に代わって、アリョーシャは夫人の娘・リーズの相手を頼まれる。リーズとアリョーシャは以前から友達で、二人は互いに好意を持っていたが、わがままでこまっしゃくれたリーズの言動に、純情なアリョーシャはいつも振り回されていた。しかし、この日のリーズはばかに素直だった。お互いの気持ちを確かめ合った二人は一気にその恋の距離を縮めるが、幼友達だとばかり思っていた二人が知らぬ間に相思相愛の仲になっていたことにホフラコワ夫人はひどく驚き、アリョーシャに今後家に出入りすることを禁じる。
ホフラコワ家を後にしたアリョーシャは、なんとかしてドミートリイに会えないかと思い、昨日偶然ドミートリイと出会った場所で彼を待ち伏せしてみることにする。しかしそこで会えたのはドミートリイではなく、実家の召使のスメルジャコフだった。アリョーシャは、スメルジャコフから、イワンが今しがたドミートリイを飲み屋に呼び出したという情報を聞き出し、偶然を装ってその店に急行する。しかし店にいたのはイワン一人だった。アリョーシャが現れたのを喜んだイワンは、最後に兄弟として距離を縮めておきたかったと、アリョーシャを相手に実にいろんな話をした。特に、無神論に関して、自身の作った壮大な創作話(「大審問官」)まで持ち出しながら、長々と興奮気味に持論を展開させるイワンの様子を目にしたアリョーシャは、イワンの神経がまいってしまっているのではないかとふと心配になる。やがて店を出て、モスクワへ旅立つイワンと別れのあいさつをかわしたアリョーシャは、病床で危篤状態にあるゾシマ長老のもとへ駆けつけるため、修道院への帰り道を急いだ。

(#14「カラマーゾフの兄弟(上)」(ドストエフスキー)finish reading: 2018/7/02)