消灯時間です

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今日のアドリブ 気ままに書きます

ガス給湯器交換体験記①

給湯器を買い替えることにした。
「給湯器そろそろ交換かも問題」は、ここ数年の我が家の懸案事項のひとつだった。何度か不具合を起こすようになったからだ。これまでは修理で乗り切ってきたが、このたび3回目の故障に見舞われたのを機にようやく決心がついた。正確には、とうとう観念した、という感じ。

今までの故障は「熱いお湯が出ない」「リモコンがエラー頻発」とわりとよくある風のものだったが、今回のはなかなかホラーチックであった。
事の始まりは、いつもつけっぱなしにしている給湯器の電源がなぜか知らぬ間に切れていたことだった。しかし最初は何かの拍子に間違えてリモコンの電源スイッチに触ってしまったぐらいに思いあまり気にとめなかった。実際、電源を入れ直した後は何事も起きず、その日は普通にお湯が使えた。が、翌日ふと気づいたときにまた電源が切れていた。さすがにおかしいと思い、業者さんを呼ぼうと思っていた矢先、今度は設定温度が勝手に乱高下するという、ポルターガイスト的な事態に陥った。「お風呂がわきました」のアナウンスでおなじみのお姉さんがあの涼やかな声で「温度が高すぎて危険です」的なことを言っている。私はお姉さんがお風呂が沸いたことだけではなく、異常事態をも知らせてくれることを今回始めて知った。電源が勝手に切れてるぐらいまではまだよかったが、勝手な温度の異常上昇となるとさすがに怖い。「え?やだうちの給湯器爆発するのでは?」と空恐ろしくなり、あわてて業者に電話を入れた。長年、うちのマンションにメンテンナンスで出入りしている業者さんだ。担当制になっているらしく、指名しなくともいつも同じ人が来てくれるのでなんとなく心強い。我が家にはここ5年以上、俳優の神保悟志の若い頃に似た担当の人(なので以下、ジンボさん(仮名)と呼びます)がやってくる。受付センターに電話しておくと、ほどなくしてジンボさんから連絡が入った。昨年、機械が古くなったことにより定期の保守点検の契約が切れたばかりだったので不安だったのだが、すぐに来てくれると言う。ざっと症状を話すと、おそらくリモコンの故障だろうということだった。とりあえず爆発の心配はしなくてよさそうだ。ジンボさんによると、うちのマンション内で最近似たような症例が相次いでいるらしく、ジンボさんはしょっちゅう出動しているらしい。我が家のマンションも気がつけば新築時からもう15年以上の時が経っている。そろそろ給湯設備が古くなってきているお宅も多いのだろう。給湯器の寿命は10~15年と聞いていたけれど、やはり本当なのだなと思った。

さっそく駆けつけてくれたジンボさんに詳しく診断してもらうと、風呂場に付いている給湯器のリモコンが完全にいかれてしまっており、それが原因で給湯器全体に悪さをしていたようだった。幸い燃焼系統には問題がないので、リモコンの交換のみでもまだ使い続けることはできるとジンボさんは言ってくれたが、またいつ故障するとも限らない。これ以上つぎはぎ的な修理をしてもいたちごっこになる気がしたので、機械も古いしこれを機に買い替えたいこと伝えると、ポーカーフェイスのジンボさんはあからさまに感情を顔には出さないが、なんとなく心の中でガッツポーズしている風だった。

さて、問題は費用だ。
ひとくちに給湯器といっても、我が家の給湯器は「TES熱源機」とかいう普通の給湯器にプラスアルファの機能を備えているもので、そのせいか金額がちょっと高い。高らかに買い替えます宣言してみたものの、お値段はいかほどのものかと戦々恐々としていたのだが、ジンボさんの提示してきた金額は意外にも思っていたより低い金額だった。ざっと言えば、税金・工事費全部込みで30万円台前半というところ。もちろん決して我が家のお財布的にはお安いお買い物ではない。でもまあ良心的な価格なのかと思った。

さらに、ジンボさんはもうひとつパンフレットを出してきた。
「ガス機器スペシャルサポート」という、今年(2018年)の4月から始まった、東京ガスの新しいメンテンナンスサービスの紹介だった。端的にいえばガス機器の保険のようなものだ。月々500円(年額6,000円)の負担で、機器のトラブル時に一定額で修理費が無料になるとか、様々な手厚いサービスが受けられるという。買い替えの場合も一定の条件はあるようだが補助が出るらしく、ジンボさんいわく我が家の給湯器はその対象になるようで、加入しておくとなんと5万円(サービスの年間契約料を差し引くと実質4万4千円)の補助が出るとのことだった。ただ、契約まで少し時間がかかるため、今から申込むと補助が受けられるのは7月1日以降の工事分からになるという。そういえばこのパンプレットは見覚えがあった。春先ぐらいにジンボさんの会社からチラシが入っていたのだ。それを見てなんとなく加入しておいたほうがよさそうな気になりながら、つい忙しぶってすっかり申込みを忘れてしまっていた。今思えば、あれは虫の知らせだったに違いない。

「うー。あのときは入っておけば」と悔しがる私を勇気づけるかのように、ジンボさんは言った。「『全くお湯が出ない』とか致命的な故障であれば私も今すぐの交換をお勧めするのですけど、〇〇さんのお宅は、幸い今のところそういう状況ではありません。ただ、お風呂のリモコンが完全に壊れてしまっているのでこれはもう使えなくなりますが、しばらくキッチンのリモコンだけで乗り切る方法があります。お風呂を沸かすなどの基本的な操作だけならキッチンのリモコンでも十分可能ですので、しばらくの間少しご不便にはなってしまいますが、差し支えなければ、この方法で7月までお待ちになってみませんか?」私はジンボさんの助言にしたがい、「ガス機器スペシャルサポート」の契約が成立してから、新しい給湯器を導入してもらうことにした。

ジンボさんは「お値段の方もここからもう少しがんばらせていただきます。メンテンナンスで長くお世話になってますので」と頼もし気な事をボソボソっと照れくさそうに言うと、どさくさにまぎれて「ビルトインコンロなんかもですね、はい。今いいのが出てます、はい。ここでしたらサイズもですね、はい。すぐにおさまりますですね、すっすっすっと、はいはいはい」と、独り言なのかそうでないのかよくわからない営業トークで他のガス器具も一通り勧めた後、「それでは来月、またご連絡させていただきます」と、ここ数年で一番のはにかみ笑顔を見せて帰っていった。おしゃべり上手な営業マンより、こういう朴訥な感じの人からモノを買ってあげたくなるのはなぜだろう。

それにしても給湯器というのは、いきなり逝くから困ったもんだ。