消灯時間です

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映画「鬼龍院花子の生涯」

「鬼龍院花子の生涯」(1982年 五社英雄監督)を見た。

貧しい商家に生まれた少女が、12歳でいきなりヤクザの大親分の家に養子としてもらわれて行くことになり、極道の世界の片隅に置かれて、さまざまな運命に翻弄されながらも、才知と慈愛に富んだ美しい女性に成長し、一家の栄枯盛衰を見届けていくというお話。鑑賞後も、何かこう、一言では言い表せない、いろいろな感情が後を引く物語であった。

何といっても、極道の家にあって、泥中の蓮のような、主人公・松恵の姿が心に残る。
その、まさに「はきだめにつる」っぷりな感じを、少女時代を仙道敦子、大人になってからを夏目雅子が、キャラぴったりに演じていた。もうこの役は、アンタたちの他にはいないと、画面の前で膝を打ちたくなる思いだった。

私は、自分が子供の頃に、可憐な花が手折られるかのごとく早く逝ってしまった夏目雅子という美しい女優のことを、心のどこかで、少し美化しすぎているのかもしれないと思っていたが、そんなことはなかった。有名な「なめたら、いかんぜよ」というセリフも、万感の思いが込められたような、抑制のきいた凄みがあって、とても良い。私は素人だから、演技力云々とか、難しいことはよくわからないけれど、やはりいい女優さんだったのだと、改めて思う。

さてさて、何やら謎めいたこの映画のタイトルのことなど、ふれておきたいことはまだまだあるのだけど、長くなってしまいそうだ。
いつかの機会にまた書くとしよう。

これまでに「吉原炎上」をはじめ、五社英雄監督の映画は何本か見てきたが、今のところ、個人的にはこの作品がナンバーワンになった。
昭和の傑作。いい映画を見た。

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