青森県立三沢航空科学館
青森県の三沢というまちに「青森県立三沢航空科学館」というヒコーキの博物館がある。
人口約4万人ばかりの小さな都市の、しかも街の中心からけっこう離れた、わりと辺鄙なところに建っている施設なのだが、これがなかなか侮れない、楽しい場所なんである。
とりあえず夏休みのシーズンなんかは、広い駐車場が満杯になるくらい多くの人でにぎわっている。
館内の展示エリア(航空ゾーン)に入ると、まずは三沢市のシンボル的存在ともいえる、「ミス・ビードル号」(1931年に三沢市内の海岸を飛び立ち、世界初の太平洋無着陸横断飛行に成功した飛行機とのこと)という、おしゃれなクラシックスタイルのプロペラ機に出迎えられ
さらに奥へとすすめば、超古典的な、鳥人間コンテストに出てくるような飛行機や
2002年まで現役で働いていたという旅客機(YS-11)などなど、すべて何らかのかたちで青森県にゆかりがあるものだというさまざまな飛行機がところせましと展示されている。
さらには、今なら旧日本陸軍の軍用機(一式双発高等練習機)も見ることができる。
平成24年に十和田湖から引き揚げられた実物とのこと。現在開催されている零戦関連のイベントの一環として展示されているもののようで、期間限定で見られるものらしい。他にも、実際に映画の撮影で使われたという零戦のレプリカや、本物の零戦のものであるというプロペラと、車輪周辺の部品も展示されていた。これも平成の世になってから博物館近くの小川原湖という湖から引き揚げられたものらしく、機体こそ失われているが、相当貴重なものであるとのこと。部品にはかの有名な「中島飛行機」の名前が刻まれていた。ゼロ戦愛がハンパないガイドの方の熱のこもったお話を聞きながらの見学であった。
しかしゼロ戦てのは、ずいぶんと簡素なつくりの操縦桿で空を飛んでたのね・・・。
こんなんで、一時は米軍を脅かすほどの存在だったというのだから、相当パイロットの腕が良かったのかなんなのか・・・。とにかく恐れ入りました。
というわけでみるものがかなり充実しているのだが、それだけにとどまらず、ここは体験型のアトラクションも盛りだくさんで来る者を飽きさせない。
これは月の重力を疑似体験できるというマシン。
他にも、航空管制のシュミレーションゲームや、パイロットの適性検査が受けられる機械、実際の訓練用のフライトシュミレーター(これはかなり人気があるようで常に長蛇の列)など実にさまざまなものがある。
館外にある三沢市大空ひろばにもヒコーキがいっぱいである。
ここには自衛隊機と米軍機がずらりと並んでいる。実際にコクピットに身を沈める体験ができる機体もあるのだが、搭乗体験は天気の良い日のみに限られているようだ。この日はあいにくの雨模様だったため、操縦席の窓は固く閉ざされていた。
こちらは、米海軍の司令官の移動用に使われていたという飛行機。この飛行機は天候に関わらず、ひろばの開園時間内であればいつでも中を見学できるようになっているようなので、さっそく機内に入ってみたわけなのだが
たしかに、上官クラスが使用していたというだけあって、中は広々としており、シートも広くて一見、空飛ぶ応接室といった趣きの飛行機なんだけれども、そうとう古いものなのか、とにかく笑ってしまうほど機内がクサイ!
まあそんなことを差し引いても、ついつい時間を忘れて滞在してしまう、まさに子どもから大人まで楽しめる、地味ながら実に魅力的な場所なんである。
青森県の県南(県東部)方面を訪れる機会のある方には、ぜひおすすめしたい場所のひとつでございます。