消灯時間です

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「鬼平犯科帳6」池波正太郎

前回、「鬼平犯科帳」の7巻を読んだところだったのだが、6巻を積ん読にしたまま、未読スルーしていたことがわかった。しまった。すっかり読んだ気になっていた。そういうわけで、図らずもてれこになってしまったのだが、今回は6巻を読む。
鬼平」は、主要人物以外でも、特に盗賊などは既出の登場人物が再登場することも多いので、やはり巻を追って読むに越したことはないのだが、ある程度の人物さえ押さえておけば、どこから切り取って読んでもそれなりに楽しめるようになっているからありがたい。うっかり順番を違えてしまったが、今回も安定の面白さだった。
鬼平」の文庫本は全24巻なので、自分はまだまだ序盤を読んでるうちに過ぎないのだが、それにつけても、この6巻はかなりの名作ぞろいの巻じゃないだろうかという印象。この巻には、人気エピソードの一つである「狐火」が収められている。いつも冷静沈着で、ボスである長谷川平蔵に忠実な女密偵のおまさが、昔、恋仲にあった盗賊の男に再会して心を乱し、つい任務を怠ってしまうという話。おまさにはちょっぴり気の毒な展開が待ち受けているが、最後の最後は長谷川さまがいつもの包容力でがっちり受けとめてくれるので救われる。「狐火」は、ドラマ版はもちろん、劇場版のときも原作にもなっていたから、その人気の高さがうかがえる。めずらしく、おまさの「女」の部分が垣間見れる、魅惑的な物語であるとともに、「鬼の平蔵」こと長谷川平蔵の、それこそ鬼のような厳しさと、併せて、懐の深さを存分に堪能できる作品で心に残る。ドラマでおまさ役を演じていた梶芽衣子さんも、いちばん印象に残っている作品だと言っていたのを、何かの記事で読んだ記憶がある。

さて、2017年も今日を入れて、あと二日。結局、12月中に読めた本は3冊だった。
4冊目以降は年明けになりそうだ。

(#3「鬼平犯科帳6」(池波正太郎)finish reading: 2017/12/29)